「無知の知」の話

無知の知。それは古代ギリシャの哲学者ソクラテスの名言とされていますが,「知らないことを自覚する」という哲学の出発点に向かう姿勢を簡略して表現した言葉です。- 「無知の知」の意味とは?ソクラテスの言葉の原文や使い方を紹介より

ソクラテス

この「無知の知」を米ペパーダイン大学の心理学者,エリザベス・クラムレイ・マンカソ氏らにより,「知的謙遜(intellectual humility)」という概念で研究を行ったそうです。

知的謙遜(intellectual humility):
「間違いは起こるものだ」「自分の知識は限られている」ということを冷静かつオープンに受け入れられる。

知的過信/自信過剰(intellectual overconfidence):
知的謙遜の対極にある概念として,自分の考えに過剰な自信を持つ(過剰な自信は問題がある)。「無知の知」が科学研究で証明される

そして計1200人の被験者に対して実験を行い,

  • 知的謙虚を持つ人は一般知識が多いということが判明。
  • 知的謙虚でない人は自分の認知能力を過大評価する傾向があるが,知的謙虚さの度合いによって認知テストの結果が影響を受けるわけではない。研究者が知的謙虚さと認知能力の間に関連性があると予測していたため、これは「驚くべき結果」だったそうです。
「人は偏見のない人を受け入れやすい傾向にありますが、一方で自分の信念を確信しない人を『弱い』と考えたり、すぐに考え方を変える人を『操作的』『安定していない』と考えることがある可能性もあります」「このような社会における人の見方が、人に自分の間違いを認めづらくしているかもしれません。『自分の考えには自信を持つべき』と考える人は、考えを変えることを恐れるかもしれません」とマンカソ氏は語っており、知的謙虚の理解を深めることが、社会における人のあり方に影響を及ぼすと考えています。「無知の知」が科学研究で証明される

ところで謙虚といえば,人間も本当に偉くなればなるほど,謙虚な姿勢で人と接することが大切という意味で「実るほど頭を垂れる稲穂かな」ということわざがありますが,海外にも似た表現はあるようですね。

  • 「The boughs that bear most hang lowest.」(英語)
    一番実を付けている枝が一番低く垂れ下がる
  • 「成熟的稻穗低着头」(中国語)
    成熟した稲穂は頭を下げる
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」の意味は?作者は誰?例文も紹介

情報源: 「無知の知」が科学研究で証明される – GIGAZINE