- 老子(ろうし)、中国(春秋時代)、紀元前571年頃 – 紀元前471年頃(諸説あり)
「哲学」というテーマで、二千五百年以上も昔、東洋の地で生まれた極めて普遍的な真理を選びました。「足るを知る者は富む」。
まことにシンプルな言葉ですが、現代において、この真理を実践できる人がどれだけいるでしょうか?
ホーッホッホッホ……世の中、摩訶不思議なことばかりです。
この名言の主である老子は、中国の春秋時代、周王朝の宮廷で文書管理の役職、今でいう国立の書庫長のような仕事をしていたと伝えられています。彼は膨大な知識と歴史の興亡を静かに見つめ、人々の飽くなき欲望や、それを満たそうとする行為が、いかに虚しい結果をもたらすかを悟ったのです。
当時の中国は戦乱の時代。人々は名誉や権力、富を求めて必死に競争していました。老子は、その過度な欲望が結局は身を滅ぼし、心を貧しくすると見抜いた。だからこそ、周の衰退を見て都を去る際、関所の役人に請われて書き残したとされる『老子道徳経』の中で、この「知足」という静かな教えを説いたのです。
この教えは、決して「貧乏を受け入れろ」という消極的な諦めではありません。際限のない競争と消費を美徳とする現代の日本社会においては、常に「もっと、もっと」と外側に目を向け、他者との比較で疲弊しきっている人が多い。老子の言葉は、そうした「無限の欲」という名の重荷から自らを解放し、今あるものに価値を見出す「心の転換」を促します。
他者との比較からくる焦燥感や、転落への恐怖心を捨て去り、自分の内側にある豊かさに気づく。それこそが、何物にも奪われることのない「真の富」である、というわけです。無駄な労力や、その後の屈辱を回避する最高の処世術ですな。
さて、あなたもひとつ、いかがです? オ・ト・ナの契約を。
あなたは、まだ見ぬ「もっと」を追いかけ続けますか、それとも、この老子の言葉で、永遠に満たされる「今」の富を選びますか?
引用元:老子 / 老子道徳経(第三十三章)
